女性のがんで一番多い乳がん「もしも乳がんになったら…」治療ステップを解説

女性のがんで一番多い乳がん「もしも乳がんになったら…」治療ステップを解説

検診を受けてから検査結果がでるまでの間、「もしがんだったらどうしよう……?」と不安に思う方も多いと思います。

乳がん検診はよくテレビや自治体で推奨されていますが、実際に乳がんが発見されてしまったときの治療法については不明確なところもあります。

実際にもしもがんの疑いがあると結果がでたらその後はどうなるのか、どんな検査や治療がすすめられていくのか、そして治るのか……。

今回は筆者が看護師として乳がんに向き合った経験から、乳がんの治療やその後についてご紹介します。


●まずは詳しく検査



まずは、検診でがんと思われる異常が発見された場合には精密検査をすすめられます。

本当にがんなのか、正確な位置や数・大きさはどうなのか、どんなタイプのがんなのか、詳しく知るための検査をしていきます。

・細胞診
細い針で腫瘍に直接針を刺します。がん細胞の有無のみわかる検査です。

・組織診
太い針で直接腫瘍に針を刺します。
がん細胞の有無だけでなく、がんだった場合どんなタイプのがんかわかります。痛みが強く、「手術よりも痛かった……」という方もいました。

検査

もしがんと診断されれば……

・CTやMRI
腫瘍の正確な位置・数・範囲を確認します。

・センチネルリンパ節生検
がんの転移の有無がわかります。
センチネルリンパ節とは、乳がんがリンパ節転移するときに最初に転移するリンパ節です。この検査方法が確立したおかげで、以前のように転移をおそれて切除する範囲を広くする、ということがなくなりました。


●治療方法の決め方



乳がんの治療は、主に5つあります。

全身治療:抗がん剤、ホルモン剤、抗HER2療法
局所治療:手術、放射線


精密検査をふまえて、基本的にガイドラインというものに沿って、また患者さんの希望やライフスタイルに合わせて上記の組み合わせや順番を決めていきます。

ちなみに、手術が可能であればほぼ全例で外科手術となります。しかし高齢で体力がない、本人が手術を望まない、全身に転移しており手術で治る見込みがない場合などは、手術を行いません。

また保険適応外ですが、漢方や免疫療法など様々な治療と併用している方もいます。

実際に筆者が病棟看護師時代にも、そのような方はいました。併用する場合は主治医の先生と相談して決めるとよいです。


●手術をしたら胸はどうなるの?



女性としては一番、気になるところですよね。乳房という女性のシンボルを失う気持ちははかりしれません。

見た目としては、手術方法にもよりますが、手術をした側・していない側で左右に差がでます。しかしブラジャーやパッドを工夫すれば衣服の上からはほとんどわかりません。

また、乳房の再建術も進歩しています。結構びっくりするくらいきれいな乳房を再建してくれます。


●今まで通りの生活はできるの?



乳がんの治療を受けている間は何かしらの副作用があったり、手術後は腕があげにくい・だるい、など生活のしづらさを感じます。

何かをあきらめたり、やめてしまう方もいます。しかし、周りの人のサポートを得たり、今までとは少し違った方法で工夫することで、家のこと・仕事・趣味などを続けていく方もたくさんいます。

あきらめない方法を一緒にサポートしてくれる体制も、以前より整ってきています。


●乳がんは完治するのか



早期発見のコラムでもお話ししましたが、乳がんは早期に発見、治療できれば経過の良いがんです。早期発見のがんは9割以上治るともいわれています。
早期発見が大事な乳がんのセルフチェック、検診の方法とは?

しかし、一旦遠隔転移すると治りません。遠隔転移とは肺や肝臓、脳、骨などの離れた臓器に転移することです。

ただ、再発・転移したとしても、絶望的というわけではないと思います。ただ、治療の目標としては、『治す』から『がんとうまく共存する』になっていきます。

ちなみに、再発・転移が発覚してから20年以上元気に生きている人もいましたよ。一般的に末期がんといわれるステージⅣのがんでも、治療をしながら仕事をしている人だってたくさんいます。

研究

そして、乳がんに対する治療は、手術方法から診断方法、薬物療法、どんどん進歩しています。毎年毎年といっていいくらいのスピードで新しい薬物が認可されています。

薬物療法の副作用を抑える薬も、ここ数年でもすごく進歩して、より苦痛が少なく治療を受けられるようになってきています。

がんだけでなく、人は生涯に様々な病気にかかる可能性があります。病気を恐れすぎる必要はないですが、このコラムを通してまずはちょっとでも乳がんという意外と身近な病気に関心をもってもらえると嬉しいです。



ライター 大山久美
某市立大学の看護学科を卒業。同大学病院の婦人科病棟で4年間勤務後、クリニックにて2年間勤務。看護師ライターへ。
得意分野:女性の病気、不妊治療など