賛否両論でも悩まないで!「母乳と粉ミルクはどっちがいいの?」
近年はWHOや厚生労働省の推奨もあり、どちらかといえば母乳育児が推奨されている傾向にある時代といえます。しかし、粉ミルク推奨の時代もあったことをご存知でしょうか?
そして、母乳と粉ミルク、それぞれメリット・デメリットはどうなのでしょうか。実は、「一概にどちらかがいい」というわけではありません。
今回は母乳や粉ミルクのいいところをあげるだけでなく、「こんな選択もあるよ」というご紹介もしていきたいと思います。
●母乳より粉ミルクを推奨していた時代もあった
昭和30~40年代頃から粉ミルクが推奨されている時代がありました。昭和30~40年代というと、ちょうど現在育児をしている世代の両親の生まれ育った時代なのではないでしょうか。
また、昭和50年代ごろから徐々に母乳育児が推奨されるようになりました。こうして、世代間で母乳や粉ミルクに対する認識が違ってきます。
では、現在は母乳と粉ミルク、どんな特徴があるのでしょうか?
●母乳について
メリット
・母児の愛着形成を促進
・子宮の回復(子宮復古)の促進
・成長に合わせて栄養成分が変化
・免疫物質が含まれている
・消化吸収されやすい
・手軽で準備不要
・口や舌、脳の発達を促す
デメリット
・母乳感染の危険性
・薬剤の母乳への移行
・母親からしか飲ませることができず、夫の育児参加の機会が減る
(⇒母乳の冷凍や哺乳瓶を利用すれば可能)
●粉ミルクについて

メリット
・栄養成分が均一
・飲んだ量が簡単にわかる
・場所を気にしない
・母親以外でも飲ませることができる
デメリット
・母乳に比べて消化吸収に時間がかかり、消化器官への負担がある
(⇒そのため一定の間隔をあける必要がある)
・母体の免疫物質が移行しない
(⇒その代わりラクトフェリンなどの免疫を補う成分が入っています)
・作るのに手間がかかる
●どちらも併用する混合授乳
「混合授乳」といって、母乳とミルクを併用するスタイルもあります。
先に母乳を吸わせて足りない分をミルクで補ったり、夜寝る前には腹持ちの良いミルクを飲ませたりする方法です。
●結局どっちがいいのかは、人によって違う
結局どっちがいいのか。これは自分自身と赤ちゃん、そして家族やとりまく環境によって違ってくると思います。
母乳にも粉ミルクにもメリット・デメリットが双方にあり、母乳が一概に一番いいとはいえないと私は考えています。
母児の状況や、ライフスタイルに合っていることが一番大事なのではないでしょうか。“母乳を与えられないこと”よりも“お母さんが笑顔じゃないこと”の方が、赤ちゃんにとってもお母さんにとってもツラいことです。

大切なことは、“お母さんが納得して、ラクな方法を選択できている”ということです。
また、母乳のメリットである「愛着形成や子宮復古、口や舌・脳の発達」なども、母乳育児でなくとも、産後の生活習慣や赤ちゃんとのスキンシップなどで促進する方法はあります。

赤ちゃんが大切だからこそ色々と気を遣ってしまい、情報に敏感になってくると思います。どんなこともですが、時代の流れや新たな発見で推奨されるものは変わってきます。
情報に振り回されてツラい思いもすることもあるかもしれませんが、「何のために、誰のためにその選択をするのか」を、忘れないようにして、それぞれの赤ちゃん、家族に合った選択ができることが何より大切ですね。
ライター 大山久美
某市立大学の看護学科を卒業。同大学病院の婦人科病棟で4年間勤務後、クリニックにて2年間勤務。看護師ライターへ。
得意分野:女性の病気、不妊治療など
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