知らなきゃ損!看護師から見た医療にかかるお金のはなし

知らなきゃ損!看護師から見た医療にかかるお金のはなし

医療にかかるお金は、「どこに住んでいても、どの保険証でも、誰でも、一律一緒である……」なんてことはありません。

住んでいる地域、加入している保険組合、年齢、持病などによって色々な助成制度があり、医療費が異なってきます。

出産、子育て世代にも知ってほしい、“意外と知らない人が多い医療にまつわるお金のお話”を、こちらのコラムでご紹介します。

※加入している健康保険については、「知らなきゃ損!こんな時にももらえるの?医療保険制度のおはなし」を参考にしてくださいね。


●子どもの医療費



“子どもの医療費は無料”ですが、実は自治体によって“子ども”を定義する年齢の基準は違います。

「子どもの医療費は小学生、中学生まで無料」ということが多いですが、例えば北海道の南富良野町では「学生ならば22歳まで医療費無料」という、かなり手厚いものになっています。

このように地域格差がかなりあるので、子育て世代が住み替えの際は、このような制度がどこまで手厚いかもチェックした方がいいですよ。「すぐ隣の市だったら……」なんてこともたくさん耳にします。


●妊婦健診



一般的に妊婦健診は妊娠から出産まで、14回程度が推奨されています。

住んでいる自治体によって、こちらも実は補助内容が変わってきます。

補助の回数や1回の受診の上限額が違ったり、エコー検査や指定の血液検査も無料になったりする地域もあります。

少子化対策に力を入れている自治体だと、妊娠から出産、育児までの助成制度が手厚いことがありますよ。


●1家族で年間10万以上の医療費



生計を共にしている家族の、1年間(1月1日~12月31日)の医療費の自己負担額合計が10万円を超えた分から税金が控除される制度があります。

「10万円なんて超えない……」と思いがちですが、1回でも手術・入院をしたり、持病で通院している人は、意外と合計すると10万円を超えることが多いです。

ちなみに、通院にかかった「公共交通機関の交通費等」も合わせてOKです。(これは領収書があれば確実です)

しかし、確定申告を行うなど申請に結構な労力がいるので、控除されて戻ってくるお金が少ないとガッカリしてしまうかもしれません……。5年までさかのぼって申請できるので、計画的に行うことをおすすめします。

私はこれで、1万円ほど税金が返ってきたことがありますよ。ただし、「ふるさと納税」をしている人は控除額限度に要注意してくださいね。


●高齢者医療制度



ラルーン世代だとまだまだ先の話かもしれませんね。

知っておいて欲しいのは、「後期高齢者医療制度」により、75歳以上の方の医療費の自己負担額は1割だということです。ちなみに70歳以上だと2割負担です。(収入によっても違う場合があります)

将来が不安で任意の保険にたくさんはいっている方もいますが、30代40代で大病を患うことは多くはありません。

通院や入院が必要になってくるのは、70代からが多いものです。そのころには高齢者医療制度が適応になり医療費は1割負担で済むようになる……。

国は「在宅介護をすすめる制度」を整える方向にあるので、入院に備えて高い保険料を支払うよりも、介護への資金をためる準備をした方がいいかもしれません。


●その他にも



難病、精神疾患などの持病を持っている場合、医療費の補助がでる場合もあります。

仕事でうつ病や適応障害になってしまい、精神科や心療内科に通う20代、30代の方も以前より多いかと思います。

実はそんな時も『自立支援医療』というものにより通院医療費が助成されることがあります。自己負担が1割になることも。

例えば、うつ病で休職した場合、加入している健康保険の傷病手当をもらいながら、自立支援医療を利用して医療費の補助を受ける、ということができます。

お金の出所は違いますが、申請すれば色々なサポートを受けることができますね。


●健康保険組合によって手厚さが違います



高額療養費には「付加給付」といって、健康保険組合によって月の自己負担の限度額が変わってきます。

特に大企業や共済組合に加入している場合は自己負担額が1~3万円で済むなんてこともあります!

実はこれを利用すると、「任意の保険はほとんど必要なかった……」なんてことも。


●知ることが何よりも大切です



日本は国や自治体、健康保険によってとても手厚い制度があふれています。しかし、これら全て、自分で申請しないと受けられないものばかりです。

病院によっては、医療者から紹介される場合もありますが、そうでない場合もあります。

知らないともらえないお金もあるので、病気になった時はまず該当する制度がないか、医療者や行政に確認してみることをおすすめします。

また事前にしっかり知識として知っておくことで、いざという時の役に立つかもしれませんよ。



ライター 大山久美
某市立大学の看護学科を卒業。同大学病院の婦人科病棟で4年間勤務後、クリニックにて2年間勤務。看護師ライターへ。
得意分野:女性の病気、不妊治療など