どうしてニンゲンの恋愛ってフクザツなの?

恋愛は子孫を残すためのもの。だったら、どうしてこんなに悩んだり苦しんだりしなきゃいけないんだろう・・・。

人間の恋は楽しかったり苦しかったり、本当に複雑なものです。

今回は、「どうして人間の恋が複雑なのか」という謎を、生物学から探っていきましょう。


●本能の恋(繁殖)はとってもシンプル
動物の世界で求められるのは、 健康で強い個体。これは、自分の遺伝子を確実に、よりよい形で残すためです。

生命力の強い相手を選ぶことで、自分の子供が生存競争を勝ち抜き、またその遺伝子を残す。

このサイクルをつくるために、優れた異性を見つけたい!という本能が働くのです。

生物学では、この、本能的な選択に関わってくるのが、脳の扁桃体(へんとうたい)という部分であるといわれています。

扁桃体は「好き・嫌い」を判断する場所。自分にとって有利なものを見つけたとき、扁桃体はドーパミンという興奮物質を出します。

そして、「好きだ!」という感情が生まれてくるのだそう。

このように、動物の恋(繁殖)は極めてシンプル。

わたしたちが恋をするとき、なぜ彼のことが好きなのか、言葉では説明できないことがよくありますよね。

実は、この感情は、扁桃体から生まれた本能的な判断だったのです。


●複雑さのひみつは「前頭葉」にあった!
生物学的には、健康で力強い遺伝子をもっていそうな異性がモテモテになるはずなのですが、人間の恋はそれだけじゃない。

どうして人間の恋だけ、こうも複雑なのでしょうか?

人間は、他の動物に比べ、脳の「前頭葉」が発達しています。

この領域は、思考や意思、創造力をつかさどる場所。物事を決めたり、感情を抑えたりと、人間らしく知的に生きるための機能を持っています。

道具を発明して、文明をつくり、思想を生み出してきた人類。他人と協力して、共に生きていくために、人間だけに与えられたのが、本能を超えた「理性」です。


● 本能VS理性
本能的な恋は、とっても強い感情です。それは、「生きる」という強い欲求をつかさどる部分が本能だから。

本能は、「好きなもの」だけを愛して、「嫌いなもの」に対しては、生理的に嫌悪感をしめします。強い憎しみや、嫉妬、怒りなどのマイナスの感情も、本能からくるもの。

パートナーより優れた異性を見つけて浮気をしたり、嫉妬にまかせて相手を傷つけたり。恋愛のドロ沼を演じてしまうのは、本能的な行動だったんですね。

一方、理性は、本能的な欲求を超えたところで働きます。

自分の命が危険にさらされたとしても、大切なひとを守ろうとしたり、相手の嫌な部分もきちんと理解して受け止めようとしたり、浮気をしないようにする行動は理性によるものです。

理性は、人間が最初からもっているものではありません。社会の中で、長い時間をかけて、本能と理性がせめぎあい、磨かれていくのだそう。

人間が恋をするということは、理性的な恋と本能的な恋の間で、バランスをとることなんですね。この「理性と本能のせめぎあい」が人間の恋を複雑にしているのでしょう。


●フクザツ。でも、それが人間
ひとが「人間」として成長し続けるために、「恋の複雑さ」は必要なことだったんです。

ひとりの異性をずっと愛して、大切にする。そんな理性的な愛を手にするために、わたしたちは複雑な恋愛の中で、「人間らしさ」を磨いているのかもしれません。


by みわ あやの